286. 考え方に味方をする 

■例文 トーマス・マン 「魔の山
 むしろ私たちは、くどすぎるわずらわしさをおそれずに、徹底的な話し方こそ、ほんとうにおもしろいのだという考え方に味方をするのである
 むしろ私たちは、くどすぎるわずらわしさをおそれずに、徹底的な話し方こそ、ほんとうにおもしろいのだという考え方を採用するのである

◇炎をもって機動隊に立ち向かう男
■違い
 「考え方に味方する」のほうが、対戦してる感じ。

285. カルチャー 

■例文 ブレンダ・ウォルシュ 「ビバリーヒルズ高校白書
 2人の関係をもっとカルチャーにしたいの
 2人の関係をもっと文明的な関係にしたいの

◇地獄の様子
■違い
 「カルチャー」は、もうちょっと節度のある関係にしたいって感じ。
 「文明的な関係」は、根本的に態度を変えようって感じ。

284. 観念も信仰も隔たる世界へ 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」
 そして王子たちの殊勝な礼拝を、嘲るような気持はもちろんなかったにせよ、今まで同じ学友と思っていたものが、ふいに観念も信仰も隔たる世界へ飛び立ったような気がするのだった
 そして王子たちの殊勝な礼拝を、嘲るような気持はもちろんなかったにせよ、今まで同じ学友と思っていたものが、ふいに遠い世界へ飛び立ったような気がするのだった

セーラームーンおじさん
■違い
 「観念も信仰も隔たる世界へ」のほうが、一種異様な感じ。

283. 彫刻的な文体 

■例文 川村二郎 「ヴェニスに死す」
 マンの、彫りつけたような固い彫刻的な文体と一致する
 マンの、彫りつけたような固い乾燥した文体と一致する

◇コケがいい感じな大仏
■違い
 「彫刻的な文体」のほうが、力強い

282. 賢明な管理 

■例文 トーマス・マン 「ヴェニスに死す」
 体格が貧弱で、資力にとぼしく、意志の恍惚と賢明な管理とによって、すくなくともしばしのあいだ、偉大なものの効果をあえて発揮する、あの業績上の道徳家たち
 体格が貧弱で、資力にとぼしく、意志の恍惚ときびしい不断の自己鍛錬とによって、すくなくともしばしのあいだ、偉大なものの効果をあえて発揮する、あの業績上の道徳家たち

◇DJおじいさん
■違い
 「賢明な管理」は、グレートギャツビーみたいに、気品がある
 「きびしい不断の自己鍛錬」は、夏目漱石のこころのKのように、愚直。

281. 政治的専心 

■例文  ノーマン・メイラ 「一分間で一万語」
 われわれは明らかに政治的専心からは、一光年も遠ざかっているが、それは超えねばならぬ距離である
 われわれは明らかに政治的専念からは、一光年も遠ざかっているが、それは超えねばならぬ距離である

◇デモで攻撃する市民
■違い
 「政治的専心」は、静かにひたむきな感じ。
 「政治的専念」は、熱中してる感じ。

280. 精密な感情 

■例文 トーマス・マン 「ヴェニスに死す」
 作家の幸福は、感情になりきり得る思想であり、思想になりきり得る感情である。そういう脈打つような思想、精密な感情が、当時この孤独な男に所属し服従していた
 作家の幸福は、感情になりきり得る思想であり、思想になりきり得る感情である。そういう脈打つような思想、密度の高い感情が、当時この孤独な男に所属し服従していた

◇カラフルな精密な街
■違い
 「精密な感情」のほうが、機械の精密さで、サッパリしてる、理性的な感情。
 「密度の高い感情」は、ギュッと絞ったみたいで、生々しい、意志的な感情。