2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

159. にまで濾過された 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 人々の私語のぞめきは、金閣からは拒まれはせずに、吹き抜けのやさしい柱のあいだへしみ入って、やがて一つの静寂、一つの澄明にまで濾過された 人々の私語のぞめきは、金閣からは拒まれはせずに、吹き抜けのやさしい柱のあいだ…

158. どっぷりと涵す

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 汚れた水が淀み、こちら岸の葉桜並木の影をどっぷりと涵(ひた)していた 汚れた水が淀み、こちら岸の葉桜並木の影を落としていた ◇画像がアップロードできない ■違い 「どっぷりと涵す」のほうが、水分を含んで重々しく見えて…

157. 諸勢力 

■例文 夏目漱石 「文学論」 尚称賛、尊敬等の感情混入し来り、さなきだに有力なるこれら諸勢力はこの場合において、高度の活動を試みるものなり 尚称賛、尊敬等の感情混入し来り、ただでさえ有力なるこれらの感情はこの場合において、高度の活動を試みるもの…

156. これが私の礼儀なのだ 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 これが私の礼儀なのだ。五月の花々や、誇りに満ちた制服や、明るい笑い声に対する私の礼儀なのだ これが私の態度なのだ。五月の花々や、誇りに満ちた制服や、明るい笑い声に対する私の態度なのだ ◇様子をうかがう猫 ■違い 「礼…

155. 気分の標識 

■例文 トーマスマン 「ヴェニスに死す」 自分の作品には、火のごとく生動する気分の標識が欠けているような気がした 自分の作品には、火のごとく生動する雰囲気が欠けているような気がした ◇焚き火に頭を突っ込む人 ■違い 「気分の標識」という言葉は、「こ…

154. 姿の中の旅人めいたもの

■例文 トーマスマン 「ヴェニスに死す」 その見知らぬ男の姿の中の旅人めいたものが、彼の想像力にはたらきかけたのか、それともほかに、何か肉体的なまたは精神的な影響が、そこにかかわっていたのか、どっちにしても、彼は自分の内心がふしぎに広まってゆ…

153. 疑問には格別深入りはしないで 

■例文 トーマスマン 「ヴェニスに死す」 アッシェンバッハは、この疑問には格別深入りはしないで、前のほうの推測に傾いていた アッシェンバッハは、このモヤモヤした感じはとりあえず置いといて、前のほうの推測に傾いていた ◇洪水なのにエアーマットでくつ…

152. 考えに全く別の方向を与えたのであった 

■例文 トーマスマン 「ヴェニスに死す」 一人の男のいるのに気づいた。この男のあまり尋常でない姿が、彼の考えに全く別の方向を与えたのであった 一人の男のいるのに気づいた。この男のあまり尋常でない姿が、彼の意識に強く働きかけたのであった ◇考える猫…

151. 黙って笑った 

■例文 三島由紀夫 「潮騒」 「そうか」。新治は男らしく黙って笑った。船は滑らかな春の波に揺られている。 「そうか」。新治は男らしく静かに笑った。船は滑らかな春の波に揺られている。 ◇ローマの休日の最後のシーン ■違い 「黙って笑った」のほうが、我…

150. 共通して口にしていいことであります 

■例文 ヴァイツゼッカー 演説 このことは今日われわれ全員が共通して口にしていいことであります このことは今日われわれ全員が同意すべきことであります ◇ハリネズミと猫が一緒に水を飲んでいるところ ■違い 「共通して口にしていい」は、権利の側面が強調…

149. 思い出を調べる 

■例文 アンナはモスクワの思い出をいちいち調べてみた アンナはモスクワの思い出をいちいち振り返ってみた ◇モアイ像の下を掘ってみた ■違い 「思い出を調べる」のほうが、詳しい感じ。

148. 教育の力 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 ただ彼女が受けてきた厳格な教育の力だけが彼女をささえて、人から要求されることを、つまり、踊ったり、質問に答えたり、話をしたり、すすんで微笑さえするのだった ただ彼女が受けてきた厳格な教育から得た忍耐力…

147. 喜びの兆 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 アンナのひとみにはうれしそうな輝きが燃え立ち、幸福の微笑がその赤い唇をゆがめるのだった。アンナはそうした喜びの兆(きざし)を見せまいと、自分で努めている様子であったが、その喜びの兆は自然に顔に現れる…

146. 特別な世界を認めた 

■例文 キチイはその目の中に、自分には開かれていないあの特別な世界を認めた キチイはその目の中に、自分には開かれていないあの普通の人とは違う雰囲気を見た ◇「クレオパトラ」 ■違い 「特別な世界」のほうが、神聖な感じがする。

145. 愛に満ちた思いで 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 彼女が愛に満ちた思いでじっとながめていたのに、相手がそれに答えてくれなかった、そのまなざしは、その後も長いこと、数年の後までも、痛ましいはずかしめとなって、彼女の心を傷つけたのであった 彼女が「大好き…

144. 詩的な興味に満ちた 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 アンナの中にはなにかしら別の世界が、キチイなどには想像もつかない、複雑で詩的な興味に満ちた、崇高な世界があるように思われた アンナの中にはなにかしら別の世界が、キチイなどには想像もつかない、複雑で詩的…

133. 怒るのは苦手なんだ 

■例文 ディランマッケイ 「ビバリーヒルズ高校白書」 「怒らないで聞いてくれる?」「怒るのは苦手なんだ」 「怒らないで聞いてくれる?」「大丈夫、怒らないから」 ◇(*ゝω・)b ■違い 「怒るのは苦手なんだ」と言われた方が、リラックスして話せる

132. いだいて帰った最後の印象 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 リョーヴィンはそっと席を立った。その晩、彼がいだいて帰った最後の印象は、ヴロンスキーに舞踏会のことをきかれたとき、それに答えたキチイのあの幸福そうな笑顔だった リョーヴィンはそっと席を立った。その晩、…

131. 頭脳と精神の緊張を極端に要求する 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ いつも頭脳と精神の緊張を極端に要求するリョーヴィンとの会話からくる疲れをいやす思いであった いつも頭をフル回転させないといけないリョーヴィンとの会話からくる疲れをいやす思いであった ◇画像 「栄光のヘレネ…

130. 色を認めて 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 アンナの顔に同情の色を認めて、彼女はそう思った アンナの顔に同情が描かれていたので、彼女はそう思った ◇画像 「オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘」 八つ裂きにされたオルフェウスへの同情 ■違い 「色を認め…

129. 美点でもあり、欠点でもある 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 きみはひじょうに純粋な人間だ。それはきみの美点でもあり、欠点でもある。きみ自身は純粋な性格だから、人生のすべてが純粋な現象から成り立っていることを望んでいるけれど、実際は、そんなものじゃないんだ きみ…

128. 決心したと宣告して 

■例文 トーマスマン 「ヴェニスに死す」 彼は自分に向かって、決心したと宣告して、それから立ちあがった 彼は自分に向かって、決心したと言って、それから立ちあがった ◇画像 「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」 こん棒で挑む決心 ■違い 「宣告して」のほう…

127. 事態にふさわしい顔つき 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 彼は自分の非行をあばかれながらも、そうした新しい事態にふさわしい顔つきを妻にすることができなかった 彼は自分の非行をあばかれながらも、そうした新しい状況に最適な表情を妻にすることができなかった ◇画像 …

126. 描かれていただろう

■例文 トーマス・マン 「ヴェニスに死す」 彼の視線が慕わしい者の視線とぶつかったとき、彼の顔いろには、喜悦と意外と嘆賞とがあきらかに描かれていたであろう 彼の視線が慕わしい者の視線とぶつかったとき、彼の顔いろには、喜悦と意外と嘆賞とがあきらか…