151. 黙って笑った 

■例文 三島由紀夫 「潮騒
 「そうか」。新治は男らしく黙って笑った。船は滑らかな春の波に揺られている。
 「そうか」。新治は男らしく静かに笑った。船は滑らかな春の波に揺られている。

ローマの休日の最後のシーン
■違い
 「黙って笑った」のほうが、我慢してる感じが出る。
 今日の例文は、文の流れがいいな、と思ったから載せた。文章構成の基本形の一つだと思う。注目すべき仕草を描写して、すぐそのあとに、情景の描写を持ってくる。クローズアップしてから、グッと引く。この一連の流れが、場面全体を静止させているというか、新治が我慢している感じをよく醸し出していると思う。僕は胸がキュンとした。