2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

月末の例文問題

言い回しを思い出すための練習。 ドラッグすれば、答えが見える。 では、行こー。 【4月分】 その解答はなかった。あるのはただひとつ、きわめて複雑な解決不可能な問題に対して、この人生が用意しているあの一般的な解答ばかりであった。その解答とはほか…

125. 人生が用意している一般的な解答 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 その解答はなかった。あるのはただひとつ、きわめて複雑な解決不可能な問題に対して、この人生が用意しているあの一般的な解答ばかりであった。その解答とはほかでもない。その日その日の要求によって生きねばなら…

124. 運んでくる 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 彼が目を輝かし、たくましいからだをいくらか臆病げに運んでくるのを見たとき、 彼が目を輝かし、たくましいからだをいくらか臆病げに動かしてくるのを見たとき、 ■違い 「運んでくる」という言葉のほうが、重そう。

123. こういう顔にぶつかる

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 私はこういう顔にぶつかる。大切な秘密の告白の場合も、美の上ずった感動を訴える場合も、自分の内臓を取とりだしてみせるような場合も、私がぶつかるのはこういう顔だ 私はこういう表情をされる。大切な秘密の告白の場合も、美…

122. 印象の細目 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 こうして私の無意識に洩らす仕様事(しようこと)ない笑いが、或る人には親しみの種になるらしい。私はそんな風に、いつも自分が人に与える印象の細目に亙(わた)って、責任を持つことができないのである こうして私の無意識に…

121. 冷かに働きだす 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 咄嗟(とっさ)の機が過ぎて、頭が冷かに働きだした時、過去を顧みて、ああいえば好かった、こうすれば好かったと後悔する。といって、この後悔を予期して、無理に応急の返事を、さも自然らしく得意に吐き散らすほど軽薄ではなか…

120. 誇りにみちあふれ 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 一挙手一投足が誇りにみちあふれ、そんな若さで、自分の謙虚さの重みをちゃんと知っていた 一挙手一投足が誇り高く見えて、そんな若さで、自分の謙虚さの重みをちゃんと知っていた ■違い 「誇りにみちあふれ」という言葉を使う…

119. といえば 

■例文 三島由紀夫 「若きサムライのために」 さて、”サムライ”といえば、われわれはすぐ勇気ということを考える。勇気とは何であろうか。また勇者とは何であろうか さて、”サムライ” という言葉から、われわれはすぐ勇気ということを考える。勇気とは何であ…

118. 枝の奥が黒くなる

■例文 夏目漱石 「三四郎」 細長い窓の外に見える大きな欅(けやき)の枝の奥が、次第に黒くなる時分だから、室の中は講師の顔も聴講生の顔も等しくぼんやりしている 細長い窓の外に見える大きな欅(けやき)の枝の奥が、次第に見えにくくなる時分だから、室…

117. よろこびの束

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 その男の妻になりたい、永遠の結合の中に自分に欠けているいっさいの幸福を見つけ出そう、そうしてこれまであこがれていたいっさいのよろこびの束を見いだそう その男の妻になりたい、永遠の結合の中に自分に欠けてい…

116. 矛盾だ

■例文 夏目漱石 「三四郎」 三四郎は茫然(ぼんやり)していた。やがて、小さな声で「矛盾だ」と言った 三四郎は茫然(ぼんやり)していた。やがて、小さな声で「何かおかしい」と言った ■例文 「矛盾だ」という言葉は、アレとコレがつながっていない、とい…

115. 感情を十分持ち合わせている

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 友情や愛情にたいする感情も十分持ち合わせていることは交際してみればよくわかる 友情や愛情にたいする配慮も十分行き届いていることは交際してみればよくわかる ■違い 「感情を十分持ち合わせている」のほうが、意…

114. せめてものよろこび

■例文 ゲーテ 若きウェルテルの悩み 道のない森に分け入り、藪に傷つきいばらに刺されるのがせめてものよろこびなんだ 道のない森に分け入り、藪に傷つきいばらに刺されると気が楽になるんだ ■違い 「せめてものよろこび」は、よっぽど辛いんだなという感じ…

113. たとえさみしく谷底に残されているにしても 

■例文 カフカ 「流刑地にて」 何はともあれ機械は健在でありまして、たとえさみしく谷底に残されているにしても、いぜんとして作動しております 何はともあれ機械は健在でありまして、放置しておいても、いぜんとして作動しております ■違い ぼくはこの文章…

112. 胸を押えつけられるような気持 

■例文 三島由紀夫 「潮騒」 海女の季節は、島の若い娘たちにとっては、丁度都会の子が胸を押えつけられるような気持でそれに直面する学期試験の季節に似ていた 海女の季節は、島の若い娘たちにとっては、丁度都会の子が心の底をおもりで吊ったような気分でそ…

111. ようでいて 

■例文 三島由紀夫 「潮騒」 無口で愛嬌がないかと思えば、急に娘らしく笑い出し、ぼうっとしているようでいて、なかなかよく気がついた 無口で愛嬌がないかと思えば、急に娘らしく笑い出し、ぼうっとしているのだけど、なかなかよく気がついた ■違い 「よう…

110. 予感のようなものが漂っていた 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 この土地にはいつも、海の予感のようなものが漂っていた この土地にはいつも、海の気配があった ■違い 「予感のようなものが漂っていた」のほうが、海の匂いが風にのって漂っている感じがある

109. 神聖で値打ちのあるものになる 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 ロッテの眼があれの顔、頬、上着のボタン、外套の襟に注がれたのかと思うと、そういうものがみんなぼくにはひどく神聖で値打ちのあるものになるんだ ロッテの眼があれの顔、頬、上着のボタン、外套の襟に注がれたのか…

108. 雰囲気に近づきすぎている 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 ロッテの雰囲気に近づきすぎている ロッテがいたところだ〜!くんくん ■違い 「雰囲気に近づきすぎている」のほうが、切なさがくる。 自分の好きな女性がいつも図書館のある一定の領域の席をとって勉強しているときに…

107. 子供同然に 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 ぼくは自分の立場をいつもきわめて明瞭につかんでいたのだ。それなのに、いざとなるとまるで子供同然に振舞ってしまったのだ ぼくは自分の立場をいつもきわめて明瞭につかんでいたのだ。それなのに、いざとなるとテン…

106. 怒りの発作 

■例文 スタンダール 「恋愛論」 イタリア人の勇気は怒りの発作であり、ドイツ人の勇気は一瞬の陶酔であり、フランス人の勇気は自尊心の現れである イタリア人の勇気はヒステリック騒動であり、ドイツ人の勇気は一瞬の陶酔であり、フランス人の勇気は自尊心の…

105. 深謝する

■例文 深謝する ほんまありがとう ■違い 「深謝」のほうが、深海に潜水してる感じ。

104. 熟視 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 向から三四郎の横顔を熟視していた 向から三四郎の横顔をじっと見ていた ■違い 「じっと」という言葉は、文全体が一回沈み込むような感じがある。場面が静止している。 一方、「熟視」だと、音読みのせいか、こすれる発音のせいか…

103. 見たまま 

■例文 三島由紀夫 「潮騒」 新治は海のほうを見たまま、威厳をつくろって、男らしい態度でそう宣言した 新治は海のほうを見ながら、威厳をつくろって、男らしい態度でそう宣言した ■違い 「見たまま」のほうが、真摯な感じがする。 新治は、黒味の澄んだ目で…

102. 空気と運動  

■例文 トーマスマン 「ヴェニスに死す」 空気と運動が元気を回復させ、有効な一夕をえさせてくれるだろうという望みをいだいて、戸外を求めた 散歩が元気を回復させ、有効な一夕をえさせてくれるだろうという望みをいだいて、戸外を求めた ■違い 「空気と運…