122. 印象の細目 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺
 こうして私の無意識に洩らす仕様事(しようこと)ない笑いが、或る人には親しみの種になるらしい。私はそんな風に、いつも自分が人に与える印象の細目に亙(わた)って、責任を持つことができないのである
 こうして私の無意識に洩らす仕様事(しようこと)ない笑いが、或る人には親しみの種になるらしい。私はそんな風に、いつも自分が人に与える印象の全てに亙(わた)って、責任を持つことができないのである

■違い
 「印象の細目」という言葉から、細かいところと大きいところをわけていることがわかる。自分の理想とする印象をだいたい伝えることはできてるけど、細かい点ではボロがでる
 印象に責任をもつ、って面白い。
 自分のシミュレーションした通りに堂々と振舞っているはずなのに、ふとした振る舞いや視線に、いつのまにか自分の本体がすべりだしてきて、可愛いねと言われることがある。これはありがたみでもあるけれど、今はまだ自分の美意識を演技したい。美意識を表現する責任感を勝手に感じている。しかし美というものは現実にすべりだしてきたとたんに腐食してしまう