2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

184. 感傷的な誇張なしに 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 決心しました。ロッテ、ぼくは死にます。ぼくはこれを感傷的な誇張なしに、落ち着いて、あなたに最後に会う日の朝、書いているのです 決心しました。ロッテ、ぼくは死にます。ぼくはこれを自分の感情に忠実に、落ち着…

183. 悲しい観念になれ親しむ 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 ウェルテルはついに自殺という悲しい観念になれ親しむようになってしまい、決心は強固な変わらぬものとなった ウェルテルはついに自殺という信念の遂行に向かってつねに身体を張るようになってしまい、決心は強固な変…

182. がんばり通す力は十分にある 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 ウィルヘルム、親切なご忠告ありがとう、いろいろ心配してくれてすまない。だが安心していてくれ。ぼくにこらえさせてみてくれ。ひどくやられてはいるが、まだがんばり通す力は十分にある ウィルヘルム、親切なご忠告…

181. 印象にたいして敏感 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 心がせばめられて、印象にたいして敏感すぎて、ある種の観念が腰をおろしてもう動こうとせず、自分というものを持てあましている人間の情熱が次第次第に大きくなっていって、平静な分別を根こそぎにしてしまい、破滅…

180. 何よりの薬 

■例文 ゲーテ 「若きウェルテルの悩み」 心がどうにもおさえられなくなると、のんきにたのしく自分の狭い生活圏の中で不平もいわずその日その日をどうにかしのいでいって、落ちる木の葉を見ては冬のきたこと以外にはなんにも思わないような、そういった人間…

179. すぐけがらわしいことに結び付けて考える 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 あたしがなにもかも、すぐけがらわしいことに結び付けて考えるってこと、お姉さんなんかにはとても想像がつかなくてよ あたしがなにもかも、汚れた思想に滑走させるのが得意だってこと、お姉さんなんかにはとても想…

178. 感覚的に何かわかるような気がするのだけれども 

■例文 三島由紀夫 「美と共同体と東大闘争」 感覚的に何かわかるような気がするのだけれども なんとなくわかるんだけど ◇インターネット ■違い 「感覚的に何かわかるのだけど」のほうが、大事なものを捉えてる感じがする

177. 排列して 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 三四郎は出来るだけの言葉を層々と排列して感謝の意を熱烈に致した 三四郎は出来るだけの言葉を層々と並べたてて感謝の意を熱烈に致した ◇解明されていない言語 ■違い 「排列」だと、数字がズラーーーーって表示されていくように…

176. 運命の膨張 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 しかもその麦酒を飲み始めてから珈琲を飲み終るまでの間に既に自己の運命の膨張を自覚し得た しかもその麦酒を飲み始めてから珈琲を飲み終るまでの間に既に自分の可能性が広がるのを自覚し得た ◇車いすで、ひざまで海につかるおば…

175. 時運に際会したと信ずる 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 われら新時代の青年は偉大なる心の自由を説かねばならぬ時運に際会したと信ずる われら新時代の青年は偉大なる心の自由を説かねばならぬ時に出会ったんだ ◇銃口をつかむ男 ■違い 「時運に際会したと信ずる」のほうが、そこで一度…

174. と見えて 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 風の力が烈しいと見えて、雲の端が吹き散らされると、青い地が透いて見えるほどに薄くなる 風の力が烈しいらしく、雲の端が吹き散らされると、青い地が透いて見えるほどに薄くなる ◇速い雲 ■違い 「と見えて」のほうが、確信度が…

173. 命に奥行がある 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 ある掬(きく)すべき情景に逢うと、何遍もこれを頭の中で新(あらた)にして喜んでいる。その方が命に奥行があるような気がする ある掬(きく)すべき情景に逢うと、何遍もこれを頭の中で新(あらた)にして喜んでいる。その方が…

172. 頭の方が事実より発達している 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 万事頭の方が事実より発達しているんだからああなるんだね とにかく頭でっかちなんだ ◇人類滅亡後に、知能が発達して、文明を築いたナメクジ ■違い 「頭が事実より発達している」という言葉から、脳みそが拡大しているところが思…

171. 意見に到達する 

■例文 ショーペンハウアー 「思索」 さて、この問題の重要さをよく考え、それに対する人々の日常的態度に注目すれば、人間とはともかくわずかに、広い意味での考える動物にすぎないという意見に到達し、以後は人間に無思慮、愚鈍の特徴を見いだしても、奇異…

170. 僕は知っています 

■例文 村上春樹 カタルーニャ国際賞スピーチ カタルーニャの人々がこれまでの歴史の中で、多くの苦難を乗り越え、ある時期には苛酷な目に遭いながらも、力強く生き続け、豊かな文化を護ってきたことを僕は知っています。我々のあいだには、分かち合えること…

169. 自然な気持ちから、その作業に取りかかる 

■例文 村上春樹 カタルーニャ国際賞スピーチ 壊れた道路や建物を再建するのは、それを専門とする人々の仕事になります。しかし損なわれた倫理や規範の再生を試みるとき、それは我々全員の仕事になります。我々は死者を悼み、災害に苦しむ人々を思いやり、彼…

168. 身体総体が緊(しま)ってくる 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 気がのびのびして魂が大空ほどの大きさになる。それでいて身体総体が緊(しま)ってくる 気がのびのびして魂が大空ほどの大きさになる。それでいて身体全体が緊(しま)ってくる ◇プジェウエ火山の噴火から避難するチリのおじさん…

167. 敬意を失った 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 三四郎はこれがために、独逸語に対する敬意を少し失ったように感じた。先生は、それから古来文学者の文学に対して下した定義をおよそ二十ばかり列べた 三四郎はこれがために、独逸語に対する興味を少し失ったように感じた。先生は…

166. 人格に関係してくる 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 どうも、ああ狼狽しちゃだめだ。学問も大学生もあったもんじゃない。甚だ人格に関係してくる どうも、ああ狼狽しちゃだめだ。学問も大学生もあったもんじゃない。甚だかっこわるい ◇後ろに熊がいるのに気づかない狩人 ■違い 「人…

165. 明晰な論理によって 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 彼は好んでシェークスピア、ラファエル、ベートーベンについて論じ、詩や音楽の新しい流派の意義などについて語ったが、それらは彼の頭の中できわめて明晰な論理によって、きちんと分類されているのであった 彼は好…

164. 人生の相場 

■例文 西部邁 「知性の構造」 快楽のあとに苦痛が、順境のあとには逆境がくるのが人生の相場であるから、当分は気をつけてやっていくつもりではいる 快楽のあとに苦痛が、順境のあとには逆境がくるのが道理であるから、当分は気をつけてやっていくつもりでは…

163. 空白になった  

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 私は完全に、残る隈(くま)なく理解されたと感じた。私ははじめて空白になった。その空白をめがけて滲(し)み入る水のように、行為の勇気が新鮮に湧き立った 私は完全に、残る隈(くま)なく理解されたと感じた。私ははじめて…

162. 蔵(しま)われていた 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 その小さな体に、この世のあらゆる逸楽と美が、バネのようにたわんで蔵(しま)われていた その小さな体に、この世のあらゆる逸楽と美が、バネのようにたわんで畳まれていた ◇巨大ネズミ捕り器 ■違い 「しまわれていた」のほうが…

161. 感じを不安にしていた 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 松はいずれも亭々と伸び、かなり高くまで葉をつけていず、こんな数しれない裸の幹が不規則に交叉していて、公園の眺めの遠近の感じを不安にしていた 松はいずれも亭々と伸び、かなり高くまで葉をつけていず、こんな数しれない裸…

160. 印象をもって、私の目に残り 

■例文 三島由紀夫 「金閣寺」 その竹のいたくたわんださまが、艶めかしい奇異な印象を以(もっ)て、私の目に残り、遠ざかり、消え去った… その竹のいたくたわんださまが、艶めかしい奇異な印象を以(もっ)て、私に迫ってきて、遠ざかり、消え去った… ◇京都…