2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

280. 精密な感情 

■例文 トーマス・マン 「ヴェニスに死す」 作家の幸福は、感情になりきり得る思想であり、思想になりきり得る感情である。そういう脈打つような思想、精密な感情が、当時この孤独な男に所属し服従していた 作家の幸福は、感情になりきり得る思想であり、思想…

279. 美人のいうことだったら 

■例文 ブランドン 「ビバリーヒルズ高校白書」 美人のいうことだったら何でも聞くようなやわな男に見えるかい? その要求はのめない ◇キスされる少年 ■違い 女性にお願い事をされたとき、「美人のいうことだったら何でも聞くようなやわな男に見えるかい?」…

278. 頭のなかで確保する 

■例文 トーマス・マン 「ヴェニスに死す」 自然の功績によって、自分の血統に対するある貴族的な関心を抱かせられる人は、だれでもそうだが、かれはいつも自分の生活の業績や成功にさいして、祖先のことを思い、彼らの賛同、彼らの満足、彼らの否応なしの尊…

277. 一顧も与えていなかった 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 すでに清顕は自分の美しさに対して一顧も与えていなかった すでに清顕は自分の美しさに対してわずかに振り返ってみることもしなかった ◇hyde ■違い 「一顧も与えていなかった」のほうが、突き放してる感じ。

276. 浅はかなる考えを持ちまして 

■例文 「明治天皇と日露大戦争」 浅はかなる考えを持ちまして申し訳ありません ばかなことを考えて申し訳ありません ◇頭の上でふせる人 ■違い 「浅はかなる考えを持ちまして」のほうが、軍人っぽい。

275. 潔癖に拒んで 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 本多は自分の空想が、若い彼にも何となく感じられるそういう傍聴人たちの想像に、まぎれ入るのを潔癖に拒んで、 本多は自分の空想が、若い彼にも何となく感じられるそういう傍聴人たちの想像に、まぎれ入るのをきっぱりと拒んで…

274. 一般論 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 彼女は学校のことだの今まで読んだいくつかの小説のことだの兄のことだのを話し、私は私で話をすぐ一般論へもって行った 彼女は学校のことだの今まで読んだいくつかの小説のことだの兄のことだのを話し、私は私で話をすぐ概念的…

273. 反射をあげた 

■例文 三島由紀夫 「仮面の告白」 空っぽの椅子が照りつく日差のなかに置かれ、卓の上にこぼれている何かの飲み物が、ぎらぎらと凄まじい反射をあげた 空っぽの椅子が照りつく日差のなかに置かれ、卓の上にこぼれている何かの飲み物が、ぎらぎらと凄まじい反…

272.  部屋が暮れだした 

■例文 三島由紀夫 「仮面の告白」 部屋が暮れだした 部屋が暗くなってきた ◇日が暮れたころに来る顔なし ■違い 「部屋が暮れだした」のほうが、夕方って感じ。

271. 夕闇が均(な)らす 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 折角精妙に刻み込んだ前面や縦長の窓を、夕闇がすでに均(な)らして、輪郭だけの黒い塊りに変えてしまい、砕ける白波が、わずかに臨終の白目のように、この世の消えがての光りをそこだけに蒐めている白を背景にして、寺院はお…

270. 月満ちるまで 

■例文 リルケ 「若き詩人への手紙」 月満ちるまで持ちこたえ、それから生む、これがすべてです 時理が来るまで持ちこたえ、それから生む、これがすべてです ◇満月にかかる雲 ■違い 「月満ちるまで」のほうが、ゆっくり進行してる。

269. 効果を集中 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 構図がふしぎなほど絵画的で、数千人の兵士が、どうみても画中の人物のようにうまく配置されて、中央の高い一本の白木の墓標へ、すべての効果を集中させているのである 構図がふしぎなほど絵画的で、数千人の兵士が、どうみても…

268. 一図に窓へ顔を向けて 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 本多は靴の始末を婦人がするときに、どうしているべきか知らなかったので、一図に窓へ顔を向けて、そのほうを見ないようにしていた 本多は靴の始末を婦人がするときに、どうしているべきか知らなかったので、ひたすら窓へ顔を向…

267. 自分の思いを支配する習慣 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 彼は自分の思いを支配する習慣から、妻についてこれだけのことを考えると、もうそれ以上は妻に関したことを考えないようにした 彼は自制の習慣から、妻についてこれだけのことを考えると、もうそれ以上は妻に関した…

266. 時間の経済

■例文 夏目漱石 「三四郎」 与次郎は三四郎に向って、「どうだ」と聞いた。実はまだ善く読まないと答えると、時間の経済を知らない男だといって非難した 与次郎は三四郎に向って、「どうだ」と聞いた。実はまだ善く読まないと答えると、時間の節約を知らない…

265. 研究も大分ある 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 大変な学問好きで、研究も大分ある 大変な学問好きで、学問も大分ある ◇巨神兵の骨 ■違い 「研究も大分ある」のほうが、好奇心が強そう。 「学問がある」は、「頭がきれる」の意味なので、「研究がある」も、そういう意味なのかな…

264. 革命を受けている 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 文壇は急転直下の勢いで目覚ましい革命を受けている 文壇は急転直下の勢いで目覚ましい刺激を受けている ◇ギリシャのデモで流血する男 ■違い 「革命を受けている」のほうが、刺激が大きい。

263. 単純な結合 

■例文 リルケ 「若き詩人への手紙」 そういう人々ともなんらかの形で、単純な、親密な結合ができるように考えて下さい そういう人々ともなんらかの形で、簡素な、親密なお付き合いができるように考えて下さい ◇雨宿りする猫 ■違い 「単純な結合」のほうが、…

262. 美しさの澱 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 世界の美しさの澱(おり)のようなものが、日毎にそれを底のほうから変質させていることに気づかなかった 世界の美しさの核のようなものが、日毎にそれを底のほうから変質させていることに気づかなかった ◇コップのなかの水と炎…

261. 何か声も心も届かぬような 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 何か声も心も届かぬような思いがしながら口を切った 何を言っても聞いてもらえないような思いがしながら口を切った ◇ギリシャで抗議する男 ■違い 「何か声も心も届かぬような」のほうが、自分の意識がぼんやりしている感じ。 こ…

260. 自分を襲う感覚 

■例文 この男の話を聞いた時に自分を襲う感覚をどう表現すればよいのかわからない この男の話を聞いた時に感じる感動をどう表現すればよいのかわからない ◇溝に落ちた犬 ■違い 「自分を襲う感覚」のほうが、抗おうにも抗えないって感じ。

259. 巨大な言葉 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 「嘆かわしいことです。情ない事態です。お上に対して、国家に対して、顔向けならないことになってしまった」と侯爵は、しゃにむに巨大な言葉を並べて怒りをつないだが、その怒りの綱が、危うく切れそうになっているのを感じて…

258. 巨大な緊張 

■例文 扉の中では人々がラジオのニュースの時間に、立ったり座ったりして耳を傾けていた。どの人にも、どの瞬間にも、巨大な緊張が全土を覆っているということが、目には見えなくとも、はっきりと感じられるのであった 扉の中では人々がラジオのニュースの時…