104. 熟視 

■例文 夏目漱石 「三四郎
 向から三四郎の横顔を熟視していた
 向から三四郎の横顔をじっと見ていた

■違い
 「じっと」という言葉は、文全体が一回沈み込むような感じがある。場面が静止している。
 一方、「熟視」だと、音読みのせいか、こすれる発音のせいか、湿気がなくて、文全体がサッと流れる。
 発音としては乾燥してるのに、「熟れるまで視る」と書く。果実が熟れて、水分ありまくり。砂漠の中でイチジクが実ってるようなもんで、現実感がない。感情が伝わってこない
 「じっと見ていた」のほうが、本気っぽさが伝わる気がする。ひらがな最強