100. この感じの本体と目標を吟味しようとして

■例文 トーマスマン 「ヴェニスに死す」
 それは一種のそわそわした不安であり、遠きを求める、若々しく渇いた欲望であり、非常に溌剌とした、非常に新しいとまでは言えないまでも、非常に遠い昔に忘れられてしまった感情だったので、彼は両手を背に、視線を落としたなり、この感じの本体と目標を吟味しようとして、縛られたように立ちどまってしまった。それは、旅行欲だった
 それは一種のそわそわした不安であり、遠きを求める、若々しく渇いた欲望であり、非常に溌剌とした、非常に新しいとまでは言えないまでも、非常に遠い昔に忘れられてしまった感情だったので、彼は両手を背に、視線を落としたなり、この感情の正体を突き詰めようとして、縛られたように立ちどまってしまった。それは、旅行欲だった

■違い
 不安でソワソワしている感情を文章にして表現したいとき、どうやってその感情の構造を明確化していいかわからない。
 そういうときに、「この感じの本体と目標を吟味しようとして」という言葉からわかるのは、感情の目標をまず考えろ、ということ。
 たとえば、mixiで友人の日記を見て、充実してるな〜って思って、不安がくる。この不安の目標を考えてみると、それは交友欲だったという感じ。