2011-01-01から1年間の記事一覧

270. 月満ちるまで 

■例文 リルケ 「若き詩人への手紙」 月満ちるまで持ちこたえ、それから生む、これがすべてです 時理が来るまで持ちこたえ、それから生む、これがすべてです ◇満月にかかる雲 ■違い 「月満ちるまで」のほうが、ゆっくり進行してる。

269. 効果を集中 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 構図がふしぎなほど絵画的で、数千人の兵士が、どうみても画中の人物のようにうまく配置されて、中央の高い一本の白木の墓標へ、すべての効果を集中させているのである 構図がふしぎなほど絵画的で、数千人の兵士が、どうみても…

268. 一図に窓へ顔を向けて 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 本多は靴の始末を婦人がするときに、どうしているべきか知らなかったので、一図に窓へ顔を向けて、そのほうを見ないようにしていた 本多は靴の始末を婦人がするときに、どうしているべきか知らなかったので、ひたすら窓へ顔を向…

267. 自分の思いを支配する習慣 

■例文 トルストイ 「アンナ・カレーニナ」 彼は自分の思いを支配する習慣から、妻についてこれだけのことを考えると、もうそれ以上は妻に関したことを考えないようにした 彼は自制の習慣から、妻についてこれだけのことを考えると、もうそれ以上は妻に関した…

266. 時間の経済

■例文 夏目漱石 「三四郎」 与次郎は三四郎に向って、「どうだ」と聞いた。実はまだ善く読まないと答えると、時間の経済を知らない男だといって非難した 与次郎は三四郎に向って、「どうだ」と聞いた。実はまだ善く読まないと答えると、時間の節約を知らない…

265. 研究も大分ある 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 大変な学問好きで、研究も大分ある 大変な学問好きで、学問も大分ある ◇巨神兵の骨 ■違い 「研究も大分ある」のほうが、好奇心が強そう。 「学問がある」は、「頭がきれる」の意味なので、「研究がある」も、そういう意味なのかな…

264. 革命を受けている 

■例文 夏目漱石 「三四郎」 文壇は急転直下の勢いで目覚ましい革命を受けている 文壇は急転直下の勢いで目覚ましい刺激を受けている ◇ギリシャのデモで流血する男 ■違い 「革命を受けている」のほうが、刺激が大きい。

263. 単純な結合 

■例文 リルケ 「若き詩人への手紙」 そういう人々ともなんらかの形で、単純な、親密な結合ができるように考えて下さい そういう人々ともなんらかの形で、簡素な、親密なお付き合いができるように考えて下さい ◇雨宿りする猫 ■違い 「単純な結合」のほうが、…

262. 美しさの澱 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 世界の美しさの澱(おり)のようなものが、日毎にそれを底のほうから変質させていることに気づかなかった 世界の美しさの核のようなものが、日毎にそれを底のほうから変質させていることに気づかなかった ◇コップのなかの水と炎…

261. 何か声も心も届かぬような 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 何か声も心も届かぬような思いがしながら口を切った 何を言っても聞いてもらえないような思いがしながら口を切った ◇ギリシャで抗議する男 ■違い 「何か声も心も届かぬような」のほうが、自分の意識がぼんやりしている感じ。 こ…

260. 自分を襲う感覚 

■例文 この男の話を聞いた時に自分を襲う感覚をどう表現すればよいのかわからない この男の話を聞いた時に感じる感動をどう表現すればよいのかわからない ◇溝に落ちた犬 ■違い 「自分を襲う感覚」のほうが、抗おうにも抗えないって感じ。

259. 巨大な言葉 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 「嘆かわしいことです。情ない事態です。お上に対して、国家に対して、顔向けならないことになってしまった」と侯爵は、しゃにむに巨大な言葉を並べて怒りをつないだが、その怒りの綱が、危うく切れそうになっているのを感じて…

258. 巨大な緊張 

■例文 扉の中では人々がラジオのニュースの時間に、立ったり座ったりして耳を傾けていた。どの人にも、どの瞬間にも、巨大な緊張が全土を覆っているということが、目には見えなくとも、はっきりと感じられるのであった 扉の中では人々がラジオのニュースの時…

257. 正しい動き 

■例文 ヒトラー 我々は寛大ではない。他の政党をドイツから排除すべきだ。我々はドイツ、そしてオーストリアで、あるいは北で、西で、あらゆる場所で、ドイツ国民を、そして祖国を、正しい動きに戻そうではないか 我々は寛大ではない。他の政党をドイツから…

256. 同じ位置に上ることができる 

■例文 ヒトラー 勤勉と決断と誇りと屈強さとによって、ドイツを興した祖先と同じ位置に上ることができる 勤勉と決断と誇りと屈強さとによって、ドイツを興した祖先と同じ高みに上ることができる ◇少女とヒトラー ■違い 「同じ高みに」と自尊心をもって言うの…

252. 魂の行為 

■例文 富岡幸一郎 西洋人にとっては自決戦法というのは理解しがたいけれども、しかし、自らの命を犠牲にして、国のため民族のために資するということは、千年の歴史を貫く魂の行為である 西洋人にとっては自決戦法というのは理解しがたいけれども、しかし、…

251. まどかな月 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 そのまどかな月を、空に炳乎(へいこ)と釘づけられた自分たちの罪の徽章(きしょう)だと聡子は感じた その丸い月を、空に燦然と釘づけられた自分たちの罪のしるしだと聡子は感じた ◇まどかな月 ■違い 「まどかな月」のほうが…

250. さやかに響いた 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 清顕の身を潔(きよ)めるために、彼らは清顕の前でその玉串を振り、その音がさやかに響いた 清顕の身を潔(きよ)めるために、彼らは清顕の前でその玉串を振り、その音が玲瓏と響いた ◇空の薄さに溶け込むようなしだれ柳 ■違い…

249. 微風を載せていた 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 海の夜は微風を載せていた 海の夜は微風を運んでいた ◇微風を載せる海の夜 ■違い 「微風を載せていた」というほうが、夜がどっしりとして感じられる。

248. 澱みなく答えた 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 と澱みなく答えたが、声はひどく低くてききとりにくく、 と円滑に答えたが、声はひどく低くてききとりにくく、 ◇川の上で食べる ■違い 「澱みなく答えた」のほうが、清らかな声って感じ。 清らかな声というと、三島由紀夫の「潮…

247. 運命を完成 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 彼が自分の運命を完成しようとするのを、力をつくして妨げてやらなくてはならない 彼が自分の運命を決定しようとするのを、力をつくして妨げてやらなくてはならない ◇間から見る ■違い 「運命を完成」のほうが、人生のおわりっ…

246. 友情の権利 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 ああしてすべてを打ち明けられた今となっては、月並みなお節介な友情の権利を行使して、彼をすぐ目の前に迫っている危険から、救い出そうとつとめるのが本当じゃないだろうか ああしてすべてを打ち明けられた今となっては、月並…

245. 強いてこじつければ、こうなんだ 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 さっき俺がへんなことを言い出しただろう。貴様と聡子さんのことをきいていて、日露戦役の写真を思い出したという話。あれは何故だろうと考えていたが、強いてこじつければ、こうなんだ さっき俺がへんなことを言い出しただろう…

244. その帰結を考えてみたことがあるのか 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 それで、貴様はどうするつもりなんだ。その帰結を考えてみたことがあるのか それで、貴様はどうするつもりなんだ。ちゃんと先のこと考えてる? ◇靖国神社の門 ■違い 「その帰結を考えてみたことがあるのか」のほうが、真剣。 昨…

243. 熱に浮かされたような言葉 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 本多は常に似ぬ曖昧な、熱に浮かされたような言葉を並べながら、清顕が禁を犯し法を超えるのを、讃嘆の気持をまじえて眺めている自分におどろいた 本多は常に似ぬ曖昧な、キザな言葉を並べながら、清顕が禁を犯し法を超えるのを…

242. 笑いをしおに 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 侯爵は大いに笑って、笑いをしおに、その話を打切りにしてしまった 侯爵は大いに笑って、笑いを最後に、その話を打切りにしてしまった ◇ギリシャの海 ■違い 「しおに」のほうが、去り際があざやか。 ■勉強時間 9月7日 10 9…

241. 二重写しに 

■例文 三島由紀夫 「春の雪」 しかし今、貴様の話をきいているうちに、その美しい恋の物語と二重写しに、何だか、あの黄塵に包まれた平野の眺めが浮かんで来たんだ しかし今、貴様の話をきいているうちに、その美しい恋の物語といっしょに、何だか、あの黄塵…

240. 私の気分に這入り込めないような 

■例文 夏目漱石 「こころ」 奥さんの調子はまるで私の気分に這入り込めないような軽いものでしたから、私は次に出すべき文句も少し渋りました 奥さんの調子はまるで私のテンションと合わないような軽いものでしたから、私は次に出すべき文句も少し渋りました…

239. 弊風 

■例文 夏目漱石 「坊っちゃん」 弊風を杜絶(とぜつ)する為めにこそ吾々はこの学校に職を奉じているので、これを見逃す位なら始めから教師にならん方がいいと思います 通弊を杜絶(とぜつ)する為めにこそ吾々はこの学校に職を奉じているので、これを見逃す…

238. 製造 

■例文 夏目漱石 「坊っちゃん」 すると婆さんはそれだから好い御気性ですと云っては、嬉しそうにおれの顔を眺めている。自分の力でおれを製造して誇っている様に見える すると婆さんはそれだから好い御気性ですと云っては、嬉しそうにおれの顔を眺めている。…